2010年08月27日

Mさんのしあわせ


Mさんの声が聞き取れないほど弱くなった。
ひと月でここまで低下してしまうとは・・・・。

進行性の病気で徐々に飲み込みも悪くはなっていたが、
この夏、一気に病状は悪化した。

ご主人がMさんの口にプリンやロールケーキのクリーム部分、
りんごジュースなど少しずつ少しずつ流し込む。
そのほとんどが口から流れ落ちている。


「訪問入浴でお風呂に入ろう!」

「嫌。」

「デイサービスに行ってイケメンのお兄さんとお話しよう!」

「嫌。」

「点滴しよう!」

「嫌。」

はじめから、医療的措置、介護サービス、そのほとんどを拒否した。
定年退職したご主人が一日中付き添っている。
食事介助もおむつ交換も、一週間に一回のお風呂も、全部ご主人。

「何、しゃべっとるか、さっぱり分からん。」
「コイツは楽やで。一日中寝とるから。」
毒舌を吐くご主人の横で、Mさんは口をすぼめて「ふっふっ。。。」と笑う。
なぜかこのご夫婦には悲壮感がない。

思えば若かりし頃、出張ばかりで家にいなかったご主人が、
今は絶えずそばにいる。

自然に任せて、夫との静かな時間を過ごす。
Mさんのささやかな、そして、究極のしあわせ・・・なのかもしれない。


(※ これを究極の「仕返し」だという人もいるが。。。
   「しあわせ」であると願いたい。)


夏の空
(空を見せてあげたい。外の空気を吸おうよ。
 だけど、Mさんは窓越しで眺めるだけでいいと言う。)


posted by akane | Comment(0) | 日記
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